播州播磨‐弐

8.27。私は姫路城にいた。

ゆるやかな坂をのぼり、道を曲がり、いくつもの門をくぐり、
時には槍で突かれ、石を落とされ、鉄砲で狙われ・・・(笑)

天守の下へ辿り着くまでにかなりの時間を要した。
これは戦意喪失する。

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ついに姫路城の天守に足を踏み入れた。
なんというか、私にとってはとても神聖な気持ち。ま、そのへんはあとで触れよう。

まず目に飛び込んできたのは武具掛け。

武具掛け。武具掛け。

武具掛け。武具掛け。武具掛け。
もはや圧巻すぎる。ここにずらっと剣や槍が掛けられていた、と想像するとなんとも物騒な光景だ(笑)


梁もすごい。
この天守のすべてを知っている梁。

一直線に伸びる道。その突き当りに見えるのが姫路駅。
目をつむる。戦時中はこの辺も一面が焼け野原になったらしい。その中で姫路城だけは焼けずに残ったのですよね。

中東や西アジアのほうでも銃撃で貴重な建造物が破壊された、とよく聞くけれど、ただただ残念なことだと思う。
人間が造り上げてきたものを人間が壊していく。

今の最先端の技術をもってでも、完全な修復はできないのだろう。
先人の凄さを思い知らされる。


天守の中の涼しさには驚いた。むしろ肌寒いくらい。
風通しが抜群。こんな物件に住みたい(笑)

そりゃあ、かつて一世を風靡した武将たちも「城」を死守したくなるわけだ(違う

あとは急な階段をひたすら登っていく。

おお、姫路城の天守ポケモン見つけたぁ(違う←
立派なしゃちほこだ。

この日は眺めがよかった。
街の向こうには海。その向こうには幾つかの島々。どれかが小豆島らしい(笑)

そういえばほのかにオリーブオイルの香りがした(嘘)←
小豆島と言ったら「八日目の蝉」のロケ地だし、蛇口からオリーブオイルが出てくるらしいから、いつか訪れてみたい土地ではある。ごめんなさい。


冗談はさておき、姫路城の天守の5階まで登ってきたのだ。

舞台。天守の五重。左右に柱、向って三方を廻廊下まわりろうかのごとく余して、一面に高く高麗こうらいべりの畳を敷く。紅くれないの鼓の緒、処々に蝶結びして一条ひとすじ、これを欄干のごとく取りまわして柱に渡す。おなじ鼓の緒のひかえづなにて、向って右、廻廊の奥に階子はしごを設く。階子は天井に高く通ず。左の方かた廻廊の奥に、また階子の上下の口あり。奥の正面、及び右なる廻廊の半ばより厚き壁にて、広き矢狭間やざま、狭間はざまを設く。外面は山岳の遠見とおみ、秋の雲。壁に出入りの扉あり。鼓の緒の欄干外そと、左の一方、棟甍むながわら、並びに樹立こだちの梢こずえを見す。正面おなじく森々しんしんたる樹木の梢。
           ――泉鏡花天守物語』より

これは鏡花の『天守物語』冒頭の舞台説明である。
表現の美しさや独特の言い回しも然ることながら、この作品の舞台こそが姫路城。まさにここなのだ。


御祭神は...おお、やはり“姫路長壁大神 播磨富姫神”だ。

静かに手を合わせる。思いを馳せる。

その節はありがとうございました、と心の中で呟く(笑)

卒論で泉鏡花をやったんですよ、私。
天守物語』の世界にも浸らせていただいた私にとって、ここはなんとなく神聖な場所、のような気がしてならない。

ひそかな念願も叶った。地上へ、現実世界へ戻ろう(意味不明←

奈落。

ポケモンGOでもしてたら間違いなく踏み外して転落すると思う。
そうでなくとも滑りやすいので、ちょっとでも立ちくらみしたらアウトです。体調の万全な時に来ましょう(笑)

御年配の方々も多く見受けられたけど、
急な階段を登って、下って...お城はなるべく若いうちに回っておこう、と心に誓いました←


地上に降り立った。

ああ、よく見るアングルだ。
ちなみにこれは1/150スケールの模型です(嘘←

そんな嘘をつきたくなるくらい綺麗。
青空が出てきた。“白鷺城”と呼ばれている、美しい白さがなお一層、際立った。



違和感のある大きな石。石棺を転用したらしい。
転用というと聞こえはいい、のだが、石棺をぶち壊してここに使ったと考えると...先人の知恵はすごい(皮肉

ま、東京タワーも戦車の廃材で作られたって話ですもんね。
ええ。リサイクルですよ、ね。


ここにも墓石のような違和感のある石。
あまりに不自然すぎて笑いが止まらなかった。

そういや刻印石は見つけられなかった。
築城の携わった大名が独自のマークを刻み込んだ石。きょろきょろと見渡していたんだけどな。残念。


この屋根瓦を見て、三幸製菓さんの“雪の宿”を想起してしまう私は病気なのでしょうか(笑)
なんだかひさしぶりに食べたくなってしまった←


マヤ文明の遺跡みたい。あまり詳しくは知らないけど←
石垣のてっぺんはもはや直角。いいや、100度くらいありそう。反り立っている。重い武具を装備した敵が登ってこれないような角度。

なんだかんだで遠目から眺める姫路城が立派で美しい、という個人的な結論に達しました。

※意見には個人差があります。

訪問日の前日。トリップアドバイザーの「行ってよかった!日本の城ランキング2016」で初の“1位”に輝いた姫路城。
これまでは熊本城が3年連続で首位だった、ということで複雑な気持ちではある。が、ここもすばらしい城だった。

日本が誇ることのできる土地をまたひとつ訪れることができた。


なんかの石碑の上で寝ている猫。
こんなに熟睡してる猫にはじめて出逢った。可愛すぎる。

城下にある姫路護国神社にて参拝。


よき旅でした。

ちなみにこのあと有馬温泉にいって、サイダーを飲み干そうとして苦しい思いをしたりしてますが、そのへんはまたいずれ(笑)

fin.